「冒険の書」をめぐるドラマ。心がふるえる大好きな話です(2月10日) 2024 02/10 Updated 2024.02.08 2024 02/10 Published 2024.02.10 / Tera \ この記事を共有 / B! リンクをコピーする 「冒険の書」をめぐるドラマ。心がふるえる大好きな話です(2月10日) Tera B! リンクをコピーする ●今日のクイズは・・・ 2月10日は、ドラゴンクエスト3が発売された日(1988年)です。 ドラクエ3といえば、テレビゲームの名作。伝説です。 今では考えにくいことですが、当時のゲームは、とりあえず終える(セーブする)のが大変でした。さて、どうしてかわかりますか? ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●答え いちいち、その時点までのパスワードを設定して保存していたから。 そのパスワードは、何桁もある憶えにくいものでした。 それを「冒険の書」という本に書き込む形式だったのです。 そして、さらにマズイことに、このデータが壊れることがある。 そんなとき、ドラクエ3では、 「お気の毒ですが冒険の書は消えてしまいました」と出て、リセットされてしまいました。 ひどいなあ。 ぼくも、体験しました。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●このお話、どう「いかし」ますか? 不便だからこそ、生まれたドラマがあります。 こんなお話です。 ————————- ある兄妹がいました。 3つ上の兄は、妹想いの優しい兄。 妹は、そんな兄とドラクエ3を毎日一緒にやっていました。 実際は、見ていただけだったけど。 ドラクエ3は、去年のクリスマスプレゼントで、2人は夢中になっていました。 勇者が兄で、僧侶が妹。 遊び人はペットの猫。 バランスの悪い3人パーティーでしたが、兄は強かった。 苦労しながらコツコツ進めたドラクエ3。 兄弟にとって、とても面白ったんです。 砂漠にあったピラミッドの敵は、とても強くて大苦戦しました。 ある日、兄が友達と野球をしに行くとき、妹にこう言いました。 『レベル上げだけやってていいよ。でも先には進めるなよ』 そして、その言葉が兄の最後の言葉になったのです。 不慮の事故が兄を襲いました。 葬儀の日。 妹は、泣くことさえできませんでした。 父は、そんな妹を抱えながら、兄の大事にしてたものを棺おけに入れようとしました。 お気に入りの服、グローブ、セイントクロス。 そして、ドラクエ3。 でも、妹は声を振り絞って言ったのです。 「ドラクエ3は入れないで」 なぜなら、兄からレベル上げを頼まれていたから。 妹は、くる日もくる日も、時間を見つけては砂漠でレベルを上げました。 言われたとおり、進めないけれど強くする。 ドラクエ3の中には、兄が生きていました。 レベルが上がったら、兄がひょっこり帰ってくるかもしれない。 そんなことを期待していた自分がいました。 やがて、兄はとても強くなりました。 そのあたりのエリアでは、強い魔法で全部倒してしまうくらいになりました。 そして、翌年のクリスマスのことです。 ドラクエ3の「冒険の書」が消えました。 「おきのどくですば、ぼうけんのしょはきえてしまいました」 そのとき、はじめて妹は泣きました。 一晩中、泣き続けました。 そして、兄がこの世にいないことを、本当に実感したのです。