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「冒険の書」をめぐるドラマ。心がふるえる大好きな話です(2月10日)

    
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「冒険の書」をめぐるドラマ。心がふるえる大好きな話です(2月10日)

●今日のクイズは・・・
2月10日は、ドラゴンクエスト3が発売された日(1988年)です。
ドラクエ3といえば、テレビゲームの名作。伝説です。
今では考えにくいことですが、当時のゲームは、とりあえず終える(セーブする)のが大変でした。さて、どうしてかわかりますか?

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●答え
いちいち、その時点までのパスワードを設定して保存していたから。
そのパスワードは、何桁もある憶えにくいものでした。
それを「冒険の書」という本に書き込む形式だったのです。
そして、さらにマズイことに、このデータが壊れることがある。
そんなとき、ドラクエ3では、
「お気の毒ですが冒険の書は消えてしまいました」と出て、リセットされてしまいました。
ひどいなあ。
ぼくも、体験しました。

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●このお話、どう「いかし」ますか?

不便だからこそ、生まれたドラマがあります。
こんなお話です。

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ある兄妹がいました。
3つ上の兄は、妹想いの優しい兄。
妹は、そんな兄とドラクエ3を毎日一緒にやっていました。
実際は、見ていただけだったけど。

ドラクエ3は、去年のクリスマスプレゼントで、2人は夢中になっていました。

勇者が兄で、僧侶が妹。
遊び人はペットの猫。
バランスの悪い3人パーティーでしたが、兄は強かった。
苦労しながらコツコツ進めたドラクエ3。
兄弟にとって、とても面白ったんです。
砂漠にあったピラミッドの敵は、とても強くて大苦戦しました。

ある日、兄が友達と野球をしに行くとき、妹にこう言いました。

『レベル上げだけやってていいよ。でも先には進めるなよ』

そして、その言葉が兄の最後の言葉になったのです。

不慮の事故が兄を襲いました。

葬儀の日。
妹は、泣くことさえできませんでした。

父は、そんな妹を抱えながら、兄の大事にしてたものを棺おけに入れようとしました。
お気に入りの服、グローブ、セイントクロス。

そして、ドラクエ3。
でも、妹は声を振り絞って言ったのです。

「ドラクエ3は入れないで」

なぜなら、兄からレベル上げを頼まれていたから。

妹は、くる日もくる日も、時間を見つけては砂漠でレベルを上げました。
言われたとおり、進めないけれど強くする。

ドラクエ3の中には、兄が生きていました。
レベルが上がったら、兄がひょっこり帰ってくるかもしれない。

そんなことを期待していた自分がいました。

やがて、兄はとても強くなりました。
そのあたりのエリアでは、強い魔法で全部倒してしまうくらいになりました。

そして、翌年のクリスマスのことです。

ドラクエ3の「冒険の書」が消えました。

「おきのどくですば、ぼうけんのしょはきえてしまいました」

そのとき、はじめて妹は泣きました。
一晩中、泣き続けました。
そして、兄がこの世にいないことを、本当に実感したのです。

 

 

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