【資料】理念を仕組みとして実現する方法 「MUJIGRAM」(無印良品)から学ぶ、マニュアル導入6つのポイント 2023 10/16 Updated 2023.10.18 2023 10/16 Published 2023.10.16 / Tera \ この記事を共有 / B! リンクをコピーする 【資料】理念を仕組みとして実現する方法 「MUJIGRAM」(無印良品)... Tera B! リンクをコピーする ご存じですか? MUJIGRAM。 「無印良品」さんの伝家の宝刀。 基盤となる、業務マニュアルのことです。 良品計画(無印良品さんの会社名)では、これを「業務基準書」と呼んで、各店に展開しています。 知る人ぞ知る。これこそが、無印マネジメントの核なのです。 1990年代に急成長・急拡大することになった同社、事業の成長に組織の成長が追い付かず、2000年代に一時的に業績が伸び悩みました。 今でこそ、海外展開も含め、すばらしいビジネスとなっていますが、実は苦労もあったのですね。 このとき、問題解決の方法として取り入れたのが、業務基準書MUJIGRAM(ムジグラム) 全12冊、合計2,000ページというボリュームで、毎週(オンライン)、3月に1回(紙ベース)で改定が行われるという改廃の仕組みもあり、かなり、一般のマニュアルとは違うものなんです。 その特徴を、コンサルタントの目からみて、ここにまとめておきました。 (これ以外にも、すばらしいところはありますが、あくまでも、ぼくの目からみてということです) 目次 1. ●ポイント1 1つひとつの業務(手段)には、必ず「目的」が明確に記されていること2. ●ポイント2 基準は完璧にできる社員が80%いるくらいのレベルで設定する3. ●ポイント3 業務に理念を紐づけする4. ●ポイント4 以上の項目が、わかりやすく記述されているかを確認する5. ●ポイント5 社員間で定着するさせるために(その1)「体現」6. ●ポイント6 社員間で定着するさせるために(その2)「改善・更新」 ●ポイント1 1つひとつの業務(手段)には、必ず「目的」が明確に記されていること あるファッションのお店で 先輩から 「棚を整理しとけよ」 と言われた新人。 あとになって、先輩からダメ出しをくらったそうです。 棚は見た目はきれいだが、ぜんぜんダメ。 ・・・実際よくある話。 なぜかというと、先輩が「目的」を言わずに、「手段」だけ話したから。 先輩としては、 (目的)「お客様が店舗にいらっしゃったときに、お客様自身が商品をすぐ取り出しやすいように」 (手段)「棚を整理しとけよ」 だった。 だから、見栄えよりも、はじめてきたお客様の取り出しやすさが第一。 目的を伝えないと、業務はうまくいかない。 手段を伝えるときは、必ず、目的を伝えてから。 これが、とても重要。 当たり前のことなんだけれど、 「わかっているよね」で、つい、スルー。 伝える方も、受け取る方も「わかっている」と勝手に思っているんです。 大丈夫ですか? あなたの会社の業務マニュアルをチェックしてみよう。 手段(やり方、手順)だけ書いてあって、 目的が記入されていないことはないですか? これは、まず、第1段階。 これができていない会社が、 「理念を業務に落とし込む」ことはできない。 ●ポイント2 基準は完璧にできる社員が80%いるくらいのレベルで設定する マニュアルに記載している業務について、 ●しっかりと標準、基準を明示していますか。 ●そして、その基準は、どのくらいのバー(難易度)で設定していますか。 無印良品さん(MUJIGRAM)では、 8割の社員がしっかりできるレベルを意識しているようです。 (もちろん、全員が100%を目指すわけですが) 「基準なくして改善なし」 理論的には当たり前ですが、実際の現場では、 ダブルスタンダードがあるものです。 それらをどこまで許容するか。 それには、明確な考え方があります。 それは、 基準・標準を明確にして、それ以外は、絶対許容できないものだけを、マニュアル化する。 社員全員が目指すべき項目をマニュアル化するということですね。 (実際、完璧にできる社員は80%だとしても) これが、原則のようです。 ●ポイント3 業務に理念を紐づけする 業務マニュアルにしっかり、理念を記述すること。 大切です。 やっとここまできました。 というのも、 ●ポイント1 1つひとつの業務(手段)には、必ず「目的」が明確に記されていること ●ポイント2 そして、基準が示されて、それは、完璧にできる社員が80%いるくらいのレベルで設定されていること が、まずは大前提だからです。 そして、いよいよ、理念に基づいて業務を規定します。 つまり、 ●ポイント1 ある目的のために ●ポイント2 この基準の業務を しっかり行うわけですが、 なぜ、そういう行動をとるかというと、 ●ポイント3 わが社は○○(理念)を大切にしているから。 たとえば、ある会社、A社では、 ●ポイント1 レジ作業でお金を受け取るときに、 ●ポイント2 トレーを2枚用意して、いただいたお金と、おつりを別のトレーで返却する なぜ、そういう行動をとるかというと、 ●ポイント3 私たちのお店では、「一人ひとりのお客様に丁寧な接客を行う」こと という、理念からもとづく行動基準があるから。 (前提) A社の理念「一人ひとりのお客様を、心からおもてなしする」 A社の行動基準 ・一人ひとりのお客様に丁寧な接客を行う ・お客様の声にしっかり耳を傾ける ・社員同士の協力によって、お客様の満足を高める ・・・ (A社は架空の会社です) もし、別のB社が、 B社の行動基準 ・スピーディーな接客を行う を優先しているとしたら、トレイを2枚用意して、時間をかけた接客はしないでしょう。 A社、B社、理念が違うことで、現場の業務のベストが異なるわけです。 それを、マニュアルでしっかり明記して、全員がわかるようにする。 (完璧にできるのは、80%の人) 「理念を仕組み化する」とは、こういうことをいうのです。 ●ポイント4 以上の項目が、わかりやすく記述されているかを確認する それででは、あなたの会社の業務マニュアルを、点検してみましょう。 どこかのページを開いてください。 その業務に関して、次のことがわかりやすく、記述されているでしょうか。 (1)理念から展開される、この業務で大切にすること (2)この業務の目的(実際、どんな状態になったらよいか) (3)業務のやり方(そこに至る具体的な方法、手段) (4)業務のやり方(そのやり方をよしとする基準、どのレベルまでやるか) (5)必要なツールなど (6)事例で説明 (1)と(2)の項目は、あとで一緒にしてしまうケースもあるかもしれません。 (ぼくが受けたセミナーでは、一項目になっていました) ただ、最初は、あえて分けて考えてみるのもよいのではないでしょうか。 (1)経営理念とのつながりを意識 (2)業務そのものの目的(実際、どんな状態になったらよいか、理念より手前のゴール) ●ポイント5 社員間で定着するさせるために(その1)「体現」 こうして、できあがったマニュアル、それを社員間で定着するために必要なことがあります。 その1つが、「体現」です。 つくった本人が、それを守らなくてはいけない。 見本とならなければいけません。 これは、とても重要です。 そして、マニュアル自体、マニュアルを全社に説明展開していく際にも、それにそってなければいけません。 理念が「楽しいチーム」だとしたら、方法も、本来の目的にそってなければならない。 それは、 マニュアルは、標準化するためのもの。 だから、マニュアルを現場に説明していく段階でも、標準的に教えていかなければダメ ですよね。 さらに、会社の理念が、「楽しいチームづくり」だったら、 マニュアルを説明共有していくこと自体も、楽しく進めなくてはいけません。 こうした「体現」。 進めていく上では、実は、一番大切かもしれせんね。 ●ポイント6 社員間で定着するさせるために(その2)「改善・更新」 せっかくつくったマニュアル、それを、長生きさせる。 社内に根付くものにすために、もう1つポイントがあります。 それが、「改善・更新」の仕組みをつくること。 無印良品さんでは、 マニュアルに関する、改善提案が、 年間 約13000件 そのうち、採用されて、マニュアルが改定される件数が 5000件 1日15件くらい改定されているわけでね。 紙ベースは、実際は、3か月に1回差し替え ネットベースは、毎週更新 それらが、日々の業務連絡でやりとりされるわけです。 すごいですよね。 このくらい、社員に定着していないと効果がないわけです。 あなたの会社のマニュアルは、年間、どのくらいの項目が改定されていますか? マニュアルを作成する段階で、その利用方法まで設計しておくことが大切です。 具体的には 1 現場での使い方、意識づけをどうするか? 2 研修等で、どのように利用するか? 3 改善更新方法を、どうするか? さあ、DO IT! 完璧でななく、できるところから、はじめていきましょう。 以上、テラの眼でした。