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【書籍】ジョン・スノウとコレラの19世紀~統計学をリスペクト

    
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【書籍】ジョン・スノウとコレラの19世紀~統計学をリスペクト

1854 年のこと。
ロンドンのソーホー地区で8 月末に発生したコレラは、最初の3日間でブロード・ストリート周辺に127 人の死者を出した。

ある医者は、自分が調合した特別な消臭剤によってコレラは減らせると言った。
ある役人は、産業革命で急激に集まった労働者の衛生管理が問題だといい、汚物を取り除くことに注力した。
しかし、功を奏することはなく、一度目の流行で2万人、二度目の流行で、7万人が亡くなった。
大疫病に遭遇したジョン・スノウという外科医は、まったく別の方法をとった。

スノーは、地区住民の事情に詳しい副牧師ヘンリー・ホワイトヘッドと共に徹底した調査を行った。その際とった方法は、

「同じような状況下で、コレラにかかった人とかからなかった人の違いを比べる」

ことだった。

そのアプローチの結果、あることに気づく。
集団A 家屋の数 40046 コレラによる死亡 1263人
集団B 家屋の数 26107 コレラによる死亡 98人

この違いはなにか。
集団Aは、水道会社Aを利用し、集団Bは、水道会社Bを利用していた。

大疫病コレラをこれ以上拡大させないためには、水道会社Aの使用を即刻止めること。
解決策はシンプルだった。水道会社はテムズ川の下流から取水していたが、中流あたりでは、かの役人が、衛生管理の観点から、汚物をどんどん水洗いしていたのである。

その、30年後、ドイツの細菌学者ロベルト・コッホが、水中に生息するコレラ菌を発見する。

残念なことに、スノウの主張は「科学的でない」として学会や行政からは退けられたらしい。しかし、助言に従って水の使用をやめた町では、コロナが終息した。

これが、統計学、疫学の原点だそうです。

たしかに、コッホは素晴らしい。
しかし、スノウのようなアプローチに、ぼくは感動する。

ぼくたちは、今、こうした統計リテラシーをしっかりもっているのだろうか。

 

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