メラビアンの怒り~恥ずかしい講師にならないために気をつけよう 2025 05/11 Updated 2025.05.15 2025 05/11 Published 2025.05.11 / Tera \ この記事を共有 / B! リンクをコピーする メラビアンの怒り~恥ずかしい講師にならないために気をつけよう Tera B! リンクをコピーする メラビアンの法則。ご存じですか? 矛盾したメッセージが発せられたとき、それを聞く人はどう受けとめるかについての実験から生まれた法則です。 研修などで、よく言われるのが・・・ 「視覚情報55%、聴覚情報38%、言語情報7%」を引き合いに出して、 「人は見かけが55%、声の感じが38%、内容の良しあし、7%しか影響しない」 だから、プレゼンは「見た目や聞き心地が大事なんです」という暴論。 そう、暴論。。。 いまだに、これを話している講師がいるとしたら、かなりマズイ状況です。 というのも、メラビアンの実験の原点にあたらず、どこかでの聞きかじりで話しているからです。 そもそも、アルバート・メラビアンさん本人も否定しています。 メラビアンが行った実験を一言で言うと、 1967年という昔(まあ、人間の本質は変わらないのだろうけど) 数十名の学生に対して(サンプルすくな)、 実験ルームで(特殊な環境で) 矛盾する情報、たとえば、 「好き」という言葉(文脈のない単語)を 冷たく言い放つ(声のトーン) それも、 表情は苦々しく(表情) これで、「言葉」「声のトーン」「表情」の3点がそろった をおこなったときに、どれが聞き手に影響を与えるか。 つまり、 矛盾したメッセージが発せられたとき、それを聞く人はどう受けとめるか という実験でした。 その結果が「視覚情報55%、聴覚情報38%、言語情報7%」 たしかに、これなら、見た目(表情・視覚情報)に一番影響を受けるというのもうなづけます。 でもね、、、 矛盾したメッセージが送られている場合の話であるし、 実際のビジネスや生活の中で、「単語」だけを発する機会なんて、、、 まあ、役者さんならあるかもしれないけれど。 シナリオも文脈もすべて無視しているし。 それ以外にもツッコミどころがたくさんあります。 この結果だけをもって、 「見た目」や「聞き心地」が、、、なんていうのは、やめてほしいですよね。 講師失格 都市伝説認定! さすがにそんな講師は、絶滅危惧種になっていますが、もし出会ったら、こんな質問をしてみるのはいかがでしょうか。 「先生、そのパーセントって、どうやって計算したんですか?」 詳しい計算式は、一応こんな感じです。ご興味ある方はどうぞ。 2つの実験の組合せです。 ——————————— Mehrabian, A. & Wiener, M. (1967). Decoding of Inconsistent Communications. Journal of Personality and Social Psychology, 6(1), 109-114. 言葉×7% +声のトーン×38% +表情×55% 実験目的 話し手の「言葉」と「声のトーン」「表情」が矛盾したとき、受け手はどちらの情報により重きを置くか? ■実験1 「言葉」と「声のトーン」の比較 被験者:大学生数十名 「言葉」=like、neutral、don’t like 3種類 「声のトーン」好意的、中立、嫌悪的 3種類 「言葉」×「声のトーン」 3×3=9パターンの音声刺激を与えた。 話し手がどのような感情をもっているかを、回答してもらった。 詳細なスケールは明示されていないが「感情の正負」を問う設問 おそらく(リッカートスケールのような形式 例:-3(非常に嫌悪的)〜 +3(非常に好意的)ChatGPT ■実験2 「言葉」=maybe 1種類 「声のトーン」好意的、中立、嫌悪的 3種類 「表情」好意的、中立、嫌悪的 3種類 顔の写真 「声のトーン」×「表情」 3×3=9パターンの音声・視覚刺激を与えた。 話し手をどれだけ好意的に感じるかを、回答してもらった。 詳細なスケールは明示されていないが「好印象の度合い」を問う設問 おそらく(定量的な1~9などのスケール)ChatGPT ■実験1,実験2の回帰分析(相関)結果によって導かれた「重みづけの目安」として (1)Y1= 言葉×7% +声のトーン×93% (2)Y2= 声のトーン×41%+表情×59% (3)Y= 言葉×7% +声のトーン×41%×93% +表情×59%×93% =言葉×7% +声のトーン×38% +表情×55% ——————————— ちなみに、これ以外の都市伝説は、こちらから(都市伝説集)。 こうした話のネタを、毎日無料で配信しています。ご興味ありましたら、ぜひどうぞ。 無料メルマガはこちら